今年は『鬼滅の刃』も『チェンソーマン』も『C.M.B.』も『砂ぼうず』も『BEASTARS』も終わっちゃったし、なんかさびしいなあ。
私たちがそう思っていても関係なく新しい漫画は生まれてくる。ある漫画がその寿命を終えるのも運命だし、新しい漫画がこの世に生を受けるのも運命。人間にできることは記録を残していくことだけ。というわけで、2020年にはじまった漫画35選!
※いくつかはすでに連載終了済み。かなしいなあ。
※2020年1月~12月の間に単行本の1巻が発行された漫画を対象とする。
発売日順リスト
- 2020/1/27 もちオーレ, 箕田海道『病月』
- 2020/1/27 小梅けいと『戦争は女の顔をしていない』
- 2020/2/21 松浦だるま『いまかこ』
- 2020/2/28 つくみず『シメジ シミュレーション』
- 2020/3/11 筒井いつき『この愛を終わらせてくれないか』
- 2020/3/23 カレー沢薫『ひとりでしにたい』
- 2020/3/31 岩浪れんじ『コーポ・ア・コーポ』
- 2020/4/8 近藤信輔『忍者と極道』
- 2020/4/10 小林安曇『魔女のマリーは魔女じゃない』
- 2020/5/22 都留泰作『竜女戦記』
- 2020/6/26 牡丹もちと『コーヒームーン』
- 2020/6/26 藏丸竜彦『数学ゴールデン』
- 2020/6/30 米代恭『往生際の意味を知れ!』
- 2020/7/8 和山やま『女の園の星』
- 2020/7/15 クロタロウ『おとぎぶっ殺シアム』
- 2020/7/17 峰浪りょう『少年のアビス』
- 2020/7/17 中山敦支『スーサイドガール』
- 2020/7/30 すぎむらしんいち『最後の遊覧船』
- 2020/8/12 日日ねるこ『のんちゃんとアカリ』
- 2020/8/17 うぐいす祥子『ときめきのいけにえ』
- 2020/8/17 ジェット草村,武井宏之『SHAMAN KING マルコス』
- 2020/8/18 山田鐘人『葬送のフリーレン』
- 2020/8/18 柳本光晴『龍と苺』
- 2020/8/19 NON『adabana 徒花』
- 2020/9/12 近藤ようこ『高丘親王航海記』
- 2020/9/23 つるまいかだ『メダリスト』
- 2020/10/15 渋谷圭一郎『瑠璃の宝石』
- 2020/10/20 浦部はいむ『あの人の血を求めてしまう』
- 2020/10/23 ゆうち巳くみ『友達として大好き』
- 2020/11/12 横山旬『午後9時15分の演劇論』
- 2020/11/18 田口囁一『ふたりエスケープ』
- 2020/11/20 宮崎夏次系『あなたはブンちゃんの恋』
- 2020/11/30 安藤ゆき『地図にない場所』
- 2020/12/11 魚豊『チ。―地球の運動について―』
- 2020/12/18 雨瀬シオリ『松かげに憩う』
2020/01/27 もちオーレ, 箕田海道『病月』
めんどくさい女同士の関係性を扱った漫画自体に食傷気味なのだが、単にめんどくさい女に絡まれてる女主人公だった1巻から、2巻になると主人公の異常性を糾弾するキャラもでてきて物語のテーマに深みが出てくる。問題は面白くなってきた頃には連載が終了してしまったことである。
2020/1/27 小梅けいと『戦争は女の顔をしていない』
もうこのコンセプトの時点で勝利が確定している。
2020/2/21 松浦だるま『いまかこ』
「場所の幽霊」が見える男と「音の幽霊」が聞こえる少女、その二人が美術予備校で出会いはじまる奇妙なゴーストストーリー。幽霊がでてくるが、世界への恐れよりも寂しさを感じさせる独特な雰囲気がある。
2020/2/28 つくみず『シメジ シミュレーション』
シュールでな白昼夢的日常ほのぼの百合漫画。つくみず先生が幸せならなんでもいい。
2020/3/11 筒井いつき『この愛を終わらせてくれないか』
前作同様に少女同士の支配関係を描いたドロドロ漫画。そこに人格転移のモチーフを持ち込むことでサスペンスの面白さも盛り込んだのか工夫していると感心したのだが、結局のところ巨大感情百合ドロドロ漫画のまま終わった。
2020/3/23 カレー沢薫『ひとりでしにたい』
バリバリのキャリアウーマンでかっこいい女性だったはずの叔母が孤独死したことで、主人公は死に向き合いはじめる。誰もが考えなければならないが目をそらしたくなる 孤独死というテーマに切り込んだ作品。コメディタッチで深刻になりすぎないのが絶妙。
2020/3/31 岩浪れんじ『コーポ・ア・コーポ』
大阪の安アパートで暮らす人々の群像劇。ファンタジーなんだけれども、どん底生活のリアル感は力強い。大阪の文化住宅が現在進行形で消えて行っている今だからこそ描ける話とも感じる。
2020/4/8 近藤信輔『忍者と極道』
いつの時代も一つぐらいは忍者漫画が連載されていないと生きている張り合いがない。
2020/4/10 小林安曇『魔女のマリーは魔女じゃない』
魔女狩りをギャグにする発想がなかった。しかも、安定して間の取り方がうまい。
2020/5/22 都留泰作『竜女戦記』
奔放な想像力の伝奇ロマン。
2020/6/26 牡丹もちと『コーヒームーン』
ループものは面白いけれどやりつくされているので難しいですが、ループしている人間がそもそも異常なのではないかという部分にフォーカスしていくのは目の付け所がよい。今後の展開を見守りたい。
2020/6/26 藏丸竜彦『数学ゴールデン』
そういえば『はじめアルゴリズム』終わっちゃったなあ。数学の小ネタを紹介するのではなく、数学を競技として取り組む高校生を主人公にしたのが新しい。数学を扱っているのにスポーツものの漫画のような読み味。
2020/6/30 米代恭『往生際の意味を知れ!』
米代恭は言わずもがな天才なので黙って読めと思うが、こじらせた人間を描くのが相変わらずうまい。意図的に前作とは男女の立ち位置を反転させているように見える。
2020/7/8 和山やま『女の園の星』
女子高で働いている男性教員の日常を描いたコメディ。特別なことは起こらないのにクスクスと笑えるのはキャラクターのやり取りが生き生きしているから。
2020/7/15 クロタロウ『おとぎぶっ殺シアム』
おとぎ話のキャラたちが最強を決するために殺しあうバトル漫画。強さの基準が作者の匙加減しかないバトルは好きじゃないが、本作は作者が自分の好きなキャラを好きなように動かしたい強い情熱だけで描いているので、そこに共感できるし肯定できる。
2020/7/17 峰浪りょう『少年のアビス』
行き詰った田舎のくそ人間関係というだけなら食傷気味だが、あの手この手で行き詰らせてくるので油断せず読める。
個人的にトラウマイスタのファンなので、少女の負の感情をキャラクター化してバトルをやらせる本作は見たいものが出力された感がある。敵キャラがほどほどに禍禍しいデザインで、味方たちもキャラが立っており、続きが読みたくなる。
2020/7/30 すぎむらしんいち『最後の遊覧船』
遊覧船を何周もする中で描かれる人間ドラマ。本当に遊覧船に乗っているだけで話を転がしているのがすごい。2巻で終わったのは妥当な気がする。
2020/8/12 日日ねるこ『のんちゃんとアカリ』
ホラーギャグ百合漫画。いやあ、キャッチーだね。
2020/8/17 うぐいす祥子『ときめきのいけにえ』
某カルトホラー映画と設定がかなり似ているけれど、そのことになかなか気が付かないぐらい調理の仕方がうまい。
2020/8/17 ジェット草村,武井宏之『SHAMAN KING マルコス』
僕たちはみんなマンキンに育てられた。
2020/8/18 山田鐘人『葬送のフリーレン』
2020年の覇権。時代はサンデーだ。
2020/8/18 柳本光晴『龍と苺』
文芸界よりも将棋界の嫌なところを描く方が楽しそうだからOK。
2020/8/19 NON『adabana 徒花』
雪の降る田舎町で猟奇的なバラバラ殺人事件が起きる。犯人と名乗り出たのは、意外にも女子高生で。ミステリアスな女子高生を中心にしたサスペンス作品。この手のものはオチによって評価が変わってしまうが、今のところキャラがかわいいのでよし。
逆に近藤ようこにコミカライズ不可能な小説があるなら教えてほしい。
2020/9/23 つるまいかだ『メダリスト』
アフタヌーン新連載三銃士の中でも頭一つ抜けている。全話傑作。
2020/10/15 渋谷圭一郎『瑠璃の宝石』
鉱石自体の持つ美しさや面白さをモノクロ漫画で表現するのは難しいが、鉱物を手に入れる過程や自然描写で見せている。
2020/10/20 浦部はいむ『あの人の血を求めてしまう』
青年が人生をやり直すために選んだ場所は自殺事件が多発している町だった。全体的に重苦し気な雰囲気、独特にデフォルメされたキャラ、グロ気持ち悪い出来事の数々、これは令和の日野日出志か!?
2020/10/23 ゆうち巳くみ『友達として大好き』
アフタヌーン新連載三銃士とは、『メダリスト』『友達として大好き』『スポットライト』のことである。
2020/11/12 横山旬『午後9時15分の演劇論』
最近は芸大を舞台にした漫画に食傷気味ではあるが、演劇が題材なので多少物珍しい。1巻の段階では個性的なメンバーが集まって劇をつくっていく様子がコメディチックに描かれる。主人公が創作という行為に対して悩んでいる姿自体が読者からするとエンタメなんだと気づかされる。
2020/11/18 田口囁一『ふたりエスケープ』
ダメ人間を、百合を、消費することから、いい加減卒業すべきなんじゃないかと考えるようになりました。
2020/11/20 宮崎夏次系『あなたはブンちゃんの恋』
夏次系って、めっちゃ絵がうまいなと気が付かされた。
2020/11/30 安藤ゆき『地図にない場所』
「人生終わった」と感じている中学生が、自分よりも人生が終わっているやつを見たいと理由でケガで引退したバレリーナに接触する導入がまず引き込まれる。意外と読後感が前向きで明るい。
2020/12/11 魚豊『チ。―地球の運動について―』
地動説を題材にした漫画という点ですでに興味をひかれる。異常な人間を一目で異常だと読者にわからせる技術というのは漫画において非常に重要だと思い知らされる。
2020/12/18 雨瀬シオリ『松かげに憩う』
「男の色気を描くことに特化した作家」 × 「完全に狂った男である吉田松陰」 = 最高! という完璧な方程式。