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雑文置き場

補遺:知るかバカうどんについて、私が知っているすべてのこと

なぜ今ふたたび知るかバカうどんを紹介するのか?

『君に愛されて痛かった』が無事に移籍したから!

 

msknmr.hatenablog.com

 

前回のブログを書いた段階ではどこに移籍するかもわかっていなかったが、秋田書店に移籍して追加コンテンツが収録された新装版も発売されたので、ふたたびブログを書き始めたというわけ。

 

 

君に愛されて痛かった【秋田書店版】【電子単行本】 6

前回のブログにおいて私は、知るかバカうどん(以下、うどん先生)の特色を、「エロ漫画家」と「東方Project二次創作者」という二つのルーツに求めたわけだが、6巻は「エロ漫画家」としてのうどん先生の手腕がいかんなく発揮された巻になっていた。

かなえと寛の一夜の情事を丸々一巻の分量を使って描いたことがまずは驚きなわけだが(秋田書店つながりで『バキ 特別編SAGA』を勝手に連想した)、セックスをただの出来事ではなく、二人のコミュニケーションとして描けているところが素晴らしい。

特にすさまじかったのが前戯のシーンで、かなえが寛をその気にさせるために指を舐めていくだが、かなえの舌が出すジュポ音と寛の心臓が出すドクドク音が重なっていくところの緊迫感はすごい。文字で表現すると何を言っているかわからないと思うが、ぜひ自分の目で確かめてほしい。

 

 

 

今回の移籍で追加書下ろしも色々とあったので、そちらも紹介する。

旧版が発売された時のメロンブックス購入特典の書き直しが主だが、大幅リメイクされているのでファンは買って読んだ方がいいと思う。

 

一花ちゃん初恋編

秋田書店版の1~3巻に収録されているオマケ漫画。

一花ちゃんの初恋とその破局について描かれた過去エピソード。こちらは、「東方Project二次創作者」としてうどん先生の長所が大いに堪能できる。つまり、すでに存在しているキャラにかわいそうな過去エピソードを後出しでどんどん追加されていくことが、うどん先生の筆力であれば可能なのだ。一花ちゃんの思い込みの強さから破綻していく初恋のスピード感は必見である。

 

 

鳴海くんカレー編・留置所編

秋田書店版の4~5巻に収録されているオマケ漫画。

鳴海くんがはじめてかなえに恋心を抱いた瞬間を切り取った「カレー編」と、絶望が繰り返し続く留置所の中で夕食のカレーを食べた時に感じる初恋のリフレイン「留置所編」。人生は絶望ときらめきの繰り返しだということがよくわかる。構成に優れた味わい深いショートストーリー。

 

ちなみに鳴海くんのTシャツに書いてある英語は、

even if that happens the curse will last forever

訳すと、

仮にそうなったとしても呪いは永遠に続く

怖いねぇ。

 

 

「越智くんは許さない」

メロンブックス秋田書店版を購入することで手に入れることができる特典小冊子。

最新6巻で語られた寛の恋愛遍歴を、越智くん視点で見たエピソードになっている。越智くんは恋愛というものの価値を認めていないがゆえに、物語に介入できないということがよくわかる。また、寛との関係を「許されなかった」奈々にも共鳴する話にもなっているのが気が利いている小品だ。

寛が色恋沙汰によって野球の才能を腐らせていってしまうことが確定している本作。越智くんにとってそれは最も許せない結末のはずだが、はてさてどうなるだろうか。

では、本作が無事に完結することを祈って、今回はおさらば。