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雑文置き場

【2024年1月漫画感想】KENT『大怪獣ゲァーチマ』、中原開平『狂狼は繭を喰む』、上村一夫『菊坂ホテル』

2024年1月に読んだ漫画の中で面白かったものを紹介していきます。 KENT『大怪獣ゲァーチマ(1)』 中原開平『狂狼は繭を喰む(1)』 上村一夫『菊坂ホテル』 KENT『大怪獣ゲァーチマ(1)』 海から突如出現した怪獣と共に起きた大波で、港町・匡波町…

2023年のすごかった漫画(29作品+α)

村村が選んだ2023年に最もすごかった漫画29選です。

昨年(2022年)のすごかった漫画を振り返る

あけましておめでとうございます! 「【2022年度版】すごかった漫画」で取り上げた作品を振り返ります。 作品の掲載順は面白かった順に並べています。つまり、一番最初に載っている作品が一番面白かったというわけです。ですので、一年前と比べて掲載順…

【11月漫画ベスト】泰三子『だんドーン』、柚原瑞香『なないろ革命』、齋藤なずな『遡る石』他、9作品

11月に読んだ漫画の中で面白かったものを紹介していきます。 新刊のコーナー 泰三子『だんドーン(1)』 まえだたかひろ『ハルスケル(1)』 星期一回收日 (著), 陳 巧蓉(原作)『ネコと海の彼方』 島本和彦 『アオイホノオ(29)』 齋藤 勁吾『異世…

「実は死んでいた」系映画のすすめ

「実は死んでいた」系映画とは何か。 それは、主人公がある時点で死んでしまっているのに、自身が死んでいることに気づかずに生活を続けているというプロットを持った映画のことである。 様々な作品で使い古されており、今更何の新鮮味もないはずなのだが、…

【10月漫画ベスト】速水螺旋人『スターリングラードの凶賊 1 』、向浦宏和『CHILDEATH 1』、後藤天泉『み♡あみ~ご』他、7作品+特集1本

10月に読んだ漫画の中で面白かったものを紹介していきます。 新刊のコーナー 向浦宏和『CHILDEATH 1』 速水螺旋人『スターリングラードの凶賊 1 』 堤葎子『生まれ変わるなら犬がいい(1)』 金田一蓮十郎『ぼくらはみんな*んでいる 1巻』 後藤天泉『み♡あ…

【8・9月漫画ベスト】今日マチ子『かみまち 上下』、米代恭『往生際の意味を知れ!(8)』他、21作品

8・9月に読んだ漫画の中で面白かったものを紹介していきます。 新刊のコーナー 今日マチ子『かみまち 上下』 町田洋『砂の都』 heisoku 『春あかね高校定時制夜間部』 大沼隆揮 (著), ツルシマ (著) 『シキュウジ-高校球児に明日はない-(1)』 くわば…

『声百合アンソロジー まだ火のつかぬ言葉のように』に寄稿しました

ストレンジ・フィクションズの〈百合アンソロジー〉第二弾、 『声百合アンソロジー まだ火のつかぬ言葉のように』に寄稿しました。 「声」をテーマにした百合小説を載せたアンソロジーです。 拙作の良し悪しはよくわからんですが、他の収録作は非常に面白か…

『アリスとテレスのまぼろし工場』は、『花咲くいろは』のやり直しなんじゃないかという話

『アリスとテレスのまぼろし工場』を鑑賞して、自分の中で岡田麿里の評価が爆上がりしている今日この頃です。 岡田麿里という作家に何か思いれのある人は絶対に見るべき作品だと思いますし、90年代を生きていたオタクにはできれば見てほしい作品です。 そし…

【7月漫画ベスト】小野寺こころ『スクールバック(1)』、額縁あいこ『リトルホーン~異世界勇者と村娘~(2)』、『【特集】白井もも吉は、何者なのか?』など、10作品+1特集

7月に読んだ漫画の中で面白かったものを紹介していきます。 新刊のコーナー 小野寺こころ『スクールバック(1)』 紫のあ『この恋を星には願わない 1』 モモヤマハト『最果てに惑う(1) 』 平井大橋『ダイヤモンドの功罪 1 』 あみだむく『ラプソディ・イン…

【5・6月漫画ベスト】初期の名前『異形の確信』、ほそやゆきの 『夏・ユートピアノ』 、水谷フーカ『リライアンス 1 』など、17作品

色々あって、5・6月に読んで面白かった本をご紹介! 新作、旧作にこだわらず面白い漫画を紹介していきます。 新刊のコーナー 水谷フーカ『リライアンス 1 』 田島列島『みちかとまり(1)』 福田宏 『ロックは淑女の嗜みでして 1』 ほそやゆきの 『夏・ユ…

【4月漫画ベスト】川村拓『嘘の子供 1巻』、大武政夫『女子高生除霊師アカネ! 1』など、10作品

今月は憂鬱病で書くのが少し遅れました。 タイトルとか、記事のスタイルを先月から少し変えています。 新作か旧作かにかかわらず、その月に読んだものの中から面白かった漫画を紹介してききます。 偽家族のなんてことない日常 ――川村拓『嘘の子供 1巻』 少女…

読者の脳を破壊すな華沢寛治【新人漫画家レビュー】

『這い寄るな金星』を読んだことで、 この作家は将来、 ”読者の脳を破壊する系漫画家”として大成するという確信を得たので、 華沢寛治の商業作の全レビューをやっていきたいと思います! 同人もいくつかあるみたいですが、 そっちまで調べだすと調べだすとき…

3月に読んで面白かった漫画

新作か旧作かにかかわらず、その月に読んだものの中から面白かった漫画を紹介していこうと思います。 有馬慎太郎『地球から来たエイリアン(3)』 田口 囁一『ふたりエスケープ: 4』 usagi『地元最高!(2)』 意志強ナツ子『るなしい(3)』 米代恭『往…

補遺:知るかバカうどんについて、私が知っているすべてのこと

なぜ今ふたたび知るかバカうどんを紹介するのか? 『君に愛されて痛かった』が無事に移籍したから! msknmr.hatenablog.com 前回のブログを書いた段階ではどこに移籍するかもわかっていなかったが、秋田書店に移籍して追加コンテンツが収録された新装版も発…

2月に読んで面白かった漫画

新作か旧作かにかかわらず、その月に読んだものの中から面白かった漫画を紹介していこうと思います。 牧瀬 初雲『スティアの魔女1』 つくみず『シメジ シミュレーション 04』 月水技研(つくみず)『文明の夜に焼く秋刀魚と電磁波測定器について』 原作:西…

1月に読んで面白かった漫画

新作か旧作かにかかわらず、その月に読んだものの中から面白かった漫画を紹介していこうと思います。 龍村景一『ムラサキのおクスリ 龍村景一短篇集』 岬かいり『笑顔の世界』 いしいひさいち『ROCA 吉川ロカ ストーリーライブ』 岩崎真『3年前の窓から(前…

【アキバ冥途戦争】なぜ日本初のメイドは「明治初期」に生まれたのか

『アキバ冥途戦争』とは、Cygames と P.A.WORKSのタッグによるアニメ作品である。キャッチコピーは「萌えと暴力について」。 1999年に秋葉原のメイド喫茶で働く女性たちを題材にした「お仕事シリーズ*1」の第5弾に位置付けられている。そのプロットは既存の…

【2022年度版】すごかった漫画(49作品+α36作品)

はじめに 去年もやったので毎年やっていきたいですね。見ていただけたら励みになります。 msknmr.hatenablog.com ・2022年(1~12月)に刊行された漫画が対象です。 ・長編or短編、完結or継続など、ざっくり分類分けしています。 ・大枠分類の中の並…

Do It Yourself!! ‐どぅー・いっと・ゆあせるふ‐ すてっぷ③レビュー

【すてっぷ③】DIYって、どうして・いきなり・やってきた? 独り言コーナー①「抜け感のあるアニメ」 ジョブ子登場! 独り言コーナー②「ジョブ子の孤独」 独り言コーナー③「主人公・せるふ」 せるふに「できること」「できないこと」 感動ポイント①「主人公…

知るかバカうどんについて、私が知っているすべてのこと

なぜ知るかバカうどんを紹介するのか? R-18(エロ)をうどんは捨てた!! って言ってる奴おるけどそんな事ないからな ――同人誌まとめ「ボコボコりんまとめ2」の作者あとがきより 知るかバカうどん(以下、うどん先生)は、漫画『君に愛されて痛かった』の…

『紙魚はまだ死なない』レビュー

murashitさんの「点対」(ささのは文庫の同人誌『紙魚はまだ死なない』収録)が、伴名練による超大型アンソロジー『新しい世界を生きるための14のSF』に収録されたそうですね。いやあ、めでたい。めでたいついでにレビューしておこうと思いました。 murashit…

読書系サークル新入生に薦める、君の脳を破壊するかもしれないホラー10選

四月中には書いて投稿しよう思っていたら、五月も終わろうとしていた…… あまたの若者が大学の門をくぐり、どのサークルに入ろうかと新歓イベントに参加する時期である。このGWにどのサークルに入るをじっくり考えて決断した人もいるだろう。もしかしたら読書…

『文体の舵をとれ ル=グウィンの小説教室』練習問題:第10章、ついに最終回!

第9章 詰め込みと跳躍 原文: ポツポツと、顔に何かが当たった。 顔を手で拭ってみると濡れていたので、雨が降ってきたのだとわかった。 家まではまだまだ距離があった。すっかり仕事でくたびれていたから、私はできるだけ走りたくはなかったが、その想いに…

『文体の舵をとれ ル=グウィンの小説教室』練習問題:第9章

第9章 直接言わない語り――物事が物語る 問一 方向性や癖をつけて語る 「あなたはどんな暴力が得意なの?」 「いや、特に」 「ずいぶんと殴るのが上手いのね」 「鍛えてますから」 「ほんとに上手」 「僕ばっかりにやらせるのはやめてくださいよ」 「わたし…

『文体の舵をとれ ル=グウィンの小説教室』練習問題:第8章

第8章:視点人物の切り替え 問一:声の切り替え 問二:薄氷 問一:声の切り替え ヨネコは、兄の後ろを歩きたくなくて別の道を選んだ。墓石の列は、不規則な並びをしていた。市営ではなく町内会が管理している墓地は、およそ計画性のない区画割りがなされて…

【偶然とミステリ】ハリー・スティーヴン・キーラー『ワシントン・スクエアの謎』

今回は、関西ミステリ連合OB会の読書会用レジュメとして、ハリー・スティーヴン・キーラー『ワシントン・スクエアの謎』をとりあげる。 まずは、簡単にハリー・スティーヴン・キーラーの日本における受容について取り上げよう。 『ワシントン・スクエアの謎…

『文体の舵をとれ ル=グウィンの小説教室』練習問題:第7章

問一:ふたつの声 ①単独のPOVで短い物語を語る。 ②別の関係者ひとりのPOVで、その物語を語り直す。 問二:遠隔型の語り手 問三:傍観の語り手 問四:潜入型の作者 問一:ふたつの声 ①単独のPOVで短い物語を語る。 「なんであんなものをパドックの近くに入れ…

【2021年度版】すごかった漫画(全35作品)

はじめに ・2021年(1~12月)に刊行された漫画が対象です。 ・長編or短編、完結or継続など、大枠で分類分けしています。 ・大枠分類の中の並びは、個人的な順位付けになっています。基本的に上に掲載されているものの方がオススメ度が高いです。 今…

『文体の舵をとれ ル=グウィンの小説教室』練習問題:第5~6章まで

第5章で形容詞を削ることは比較的容易だった。それゆえに冒険をしているところがなくて不満が残る。第6章は逆に無節操なところを冒険と誤解しているのがみっともないけれど、楽しく書けたので、ヨシッ。 第5章 形容詞と副詞 第6章 動詞:人称と時制 第5…